Nadegata

なで肩です。

2017/6/24 Tall Juan/ミツメ/王舟@Wall&Wall

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Tall Juanというアルゼンチン出身のアーティストの来日公演へ。ぶっちゃけ、Tall Juanは聴いたことなかったけど、ミツメと王舟が出ると知って急にスケジュールが空いたこともあり当日券で参加。ここ一ヶ月なぜか無性にミツメのライブ観たくて仕方なかったのでいいタイミングだった。ミツメがNYでライブやった時に対バンした経緯で今回の来日公演も一緒にやってるらしい。

 

talljuan.bandcamp.com

 

表参道のWall&Wallは初めて行く箱。入り口がやたらわかりづらくて5,6分迷ってしまった。王舟も迷ってリハ遅刻したといっていた。たまに行く日本一予約の取れないという触れ込みのヘッドマッサージ屋と同じビルだったという。灯台下暗し。

王舟観るのはかなり久々だったけど、相変わらずいい感じの音楽やっていてとても良かった。ああいう雰囲気の音楽を国内でやってる人はなかなか希少だと思う。

ミツメは相変わらず永遠と聴いていたくなるような演奏。NY公演がどうだったか知らないけど、日本語歌詞だけど世界に通用する音楽やってると思う。アメリカにいた時代、toeやらtricotやらBorisやらLITEやら何組か日本のバンドのUSツアーに行ったことあるけど、基本的に歌詞なんて通じなくても演奏のグルーヴ感が立っていれば現地の客でも沸かすことできてた。それを踏まえるとChaiのUS公演での盛り上がり方も頷けるし、ミツメもきっと盛り上がったんだろうなぁ。

Tall Juanは一言で表すと、よく言われているように完全に「ひとりラモーンズ」としか形容できない演奏。途中からドラムとベースにミツメメンバーがサポートに入ってラモーンズ感マシマシ。勢いで半裸になるTall Juanにあわせて、ベースに入ったナカヤーンも一緒に脱いで半裸で演奏してて面白かった。なかなかミツメではお目にかかれない半裸演奏。アンコールでも、観客にドラム叩けるやついないか?一緒に演奏しようぜと誘うJuanに対してそんな無茶ぶりに対応できる観客もいるわけもなく、結局ミツメの洋次郎がアンコールでも叩くことに。アンコールはアドリブであわせたように見えたけど、とても息の合った演奏だった。さすがプロ。

今回の客の入り的におそらく二度と日本で観れないんじゃないかな、Tall Juan。結構好きだけど、キャラ含めて日本人にウケるかは未知数。

2017/6/17 スネオヘアーTour2017@渋谷CHELSEA HOTEL

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スネオヘアーのメジャーデビュー15周年記念のライブツアーに行った。ここ10年以上は全く聴いてなかったが、実はシュガーフィールズのレーベルでやってたインディー時代からメジャーデビュー直後くらいまで熱心に聴いてて、2ndくらいまではインディー含めて全部音源持ってた。ちょいちょい売れだして、インディー時代の楽曲にあった世間に対するひねくれた感じ、底にあるルサンチマンみたいなものが薄くなってからさっぱり興味なくなってしまって、全く聴かなくなってしまった。よくあるパターン。

今回は15周年ツアーは三夜構成で、一夜目は1stアルバムから3rdアルバムまでの楽曲、二夜目は4〜6作目、三夜は7〜9作目からの選曲という昔だけ聴いてた自分にとってうってつけのようなツアーだったので参加することに。

こういったある程度キャリアのあるアーティストが昔のアルバムの曲だけでやるライブや、昔のアルバムの何周年での再現ライブは本人たちのモチベーションは置いといて、一部ファンにとってはめちゃくちゃ需要あるし、自分は大賛成派です。新しいアルバムとかを全部聴きこむ気は全く起きないし、追いかけるのもしんどいので嬉しい限りである。

普段のライブを知らないのでなんとも言えないけど、今回のサポートメンバーは見覚えのあるメンバーが多かった。ギターがこの前のカーネーションのワンマンで観た以来の松江潤さん。相変わらず若い。ベースはサニーデイの田中貴。一時期スネオヘアーのマネージャーやってた繋がりでサポートしてるらしい。不思議な繋がりだ。ドラムはつばきのおかもとなおこ。先月旦那さんが亡くなったときいたけど、感じさせない演奏だった。

3rdアルバムの曲が全くわからんかったけど、1,2作目の楽曲は14年ぶり?くらいに聴いたけど、すんなり懐かしく聴けました。おもしろいもんで完全に身体に染み付いてる。だいぶ見た目も老けて、プライベートでもともさかりえと離婚したり色々あるみたいだけど、最近はまた割と手弁当で活動してるような感じだった。アンコールでやった新曲がやたら曽我部っぽい曲に聞こえたのはベースの田中のせいもあるのかな。しかし、CHELSEA HOTELなんてまさか入る機会あるとは思わなかったよ。いい経験。

2017/5/24 CHAI presents ”ロード・ツー・ダ・GRAMMYs” season3@o-nest

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音源聴いて以来、ずっとライブ行きたかったCHAI。去る5/24、やっと行けました。会場のnest前に着いたら、向かいのduo前にパトカーが止まっていてポリスメンたち何やら慌ただしくしていたが、開演が迫ってたことと、まぁ渋谷のラブホ街にパトカーがいてもとりわけ違和感もないので、スルーして会場に。

翌日、元カトゥーンの田中聖が渋谷で捕まったというニュース映像を見たらまさにnestが映っていてびっくり。変に見に行かないでよかった。

今回はHelsinki Lambda Clubってバンドとのツーマンイベント。よく知らんけど、Bombay Bicycle Clubみたいな名前だ。オマージュなのか単にこの手のバンド名が流行ってるのか。初めて聴いたが普通に売れ線っぽい音。ただ、個人的に全く興が乗らず。MCのああいう感じとか含めどうも受け付けないんだよなあ。完全に好みの問題です。はい。

さて、前座が終わって待ちに待ったCHAI。いざ演奏始まったら先ほどとは打って変わって体が勝手に動き出す。生で聞くボーカルも音源そのままのあの独特の声質。演奏も達者で踊らされてしまう。CSSやトム・トム・クラブを彷彿とさせるパフォーマンス。イベント開始前にフロアでメンバーがDJ回してて、CSSBasement Jaxxをかけてたし、彼らからの影響も大いに受けてるとは何かの記事で言っていたが、CSSを知ったのは前作を出した後に勧められたからとも言っていたので、はじめからフォワーとしてではなく好きな音楽演っていたら無意識的に共通点が出てきたということか。凄いポテンシャルである。メンバーの双子が目立つけど、個人的にはベースの子の立ち居振る舞い凄いかっこよくて目で追ってしまった。CDのジャケも彼女が描いているそうで、多才とはまさにこのこと。USツアーで鍛えられたのか客席の盛り上げ方もうまい。CHAI始まった途端に客席に外人が一気に増えたが、そんな客席の彼らも大盛り上がりだった。(そういや客席にはThe Wisely Brothersの三人の姿も。かわいかった。)そんなこんなでテンション最高のまま踊らされ、最後まであっという間に終わってしまった。なんだろうこの感じ。音源ももちろんすばらしいんだけど、どうみても完全にライブバンド。ライブのほうが俄然良い。こんなにライブが楽しみなバンドは久しぶりだ。昔neco眠るを初めてライブで観たときと似たような感覚。なんかのきっかけ次第で一気に売れそうな感じがするので、nestサイズの箱で観られるうちに行けて本当に良かった。当日8月のワンマン開催が発表され、物販で迷わずチケット購入。スケジュールみたらソニマニと日程被ってたけど俄然CHAI優先。今から楽しみである。

 

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何かのきっかけで一気に売れそうと書いたけど、早速本日テレビに出るそうで。録画マストですわ。

 

2017/5/21 Greenroom Festival ’17@横浜赤レンガ倉庫

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もう先月の話になるけどGreenroomの二日目に行った。金土日と3日連続ライブ続き。流石に頻度高いな。

 

Greenroomは記憶にある限り最後に行ったのは2010年。Arrested DevelopmentRickie Lee Jonesあたりを目当てに、G.LoveやらCurly Giraffeあたりもついでに観れればと思って行った記憶がある。2010年は今の赤レンガ倉庫を会場に開催した初めての年で、ステージ配置が酷く、演奏中に隣のステージの音が混ざって聴こえてきたりと、色々と粗さのみえる改善点の多いフェスだった。

しかも天気も雨降りで、目当ての一つのRickie Lee Jonesのパフォーマンスもイマイチで、正直あまりいい印象を持たないまま、メンツ的な意味も含めてしばらく(7年も!)遠ざかっていた。

 今年も当初は行く予定はなかったが、Tortoiseが2日目に出ると決まり、その他のメンツも悪くなかったので参加決定。TortoiseBillboard公演は気になっていたものの優先度的にあまり行く気がおきなかったのでちょうどよかった。フェスなんで友人誘ってみたものの急な仕事でキャンセルに。一人フェスはさすがにキツイと思っている諸君、これまで何度か行った経験上、一人も意外と悪くないもんです。

どうせ誰かと行っても大体途中で観たいもの分かれて別行動することがパターンが多いので、キャンプ要素の無い都市型フェスにおいては、機動力の増す一人の方が圧倒的に周りやすい。都市型フェスは拠点に帰ってまったりするみたいな要素はないので、孤独感に耐えるシーンも基本あまりない。(Taico Clubとかはさすがに一人はキツイ。)

 

今年The New Mastersoundsが1日目に出演することになったように、昔からGreenroomで呼ぶ外タレ勢は癒着してるのかってくらいその週のBillboardあたりでライブやったアーティストをそのまま呼んでくる傾向がある。だから過去のRickie Lee Jonesしかり、The Brand New Heaviesしかり、このフェスの根底にあるサーフ系ノリの全体的な空気とは少し毛色の違うアーティストが来たりしてて、今年のTortoiseも完全にその枠だろう。

(だからこそ自分みたいな外タレメインで観に来る層にもリーチしてて、行こうかなぁと毎年若干迷わせるようなメンツになっているのも事実。)

 

今年は真夏みたいな暑さの晴れで、これぞフェス日和という感じ。やはり野外のフェスは晴れてた方が圧倒的に気持ちいい。

久々に来てみたら随分とフェスとして洗練されてきていて、ステージ配置も凄い改善していたし、オフィシャルドリンクバーがほぼ並ばないで買えるレベルの人員配置しててストレスフリー。(入場口でドリンク代500円取るのは、フェスとしてどうかと思ったが。ライブハウスじゃあるまいし・・・)

そして客層はフェス屈指のおしゃれでかわいい女子率の高さ。アクセス楽ちんの都市型フェスというのに加え、持ち前のサーフカルチャーと、ヨガやらクルーザーみたいな女子ウケ要素。さらにインスタ映えする装飾の数々。露出高めのホットなグラサンビーチガールが多いのも納得ですよ。山ガールなんて一人もおらんからな!

周りのリストバンドを見渡すと2日通し券ではなく、単日券のリストバンドの人がやたら多い。フェス自体を楽しみにというよりは、目当てのアーティストを楽しみにという感じなんでしょう。結構高いし。

 

もちろん改善点もあって、入場口手前の赤レンガ倉庫のあたりのブースは全部入場無料なので、人があふれまくってる。いや活気があっていいのだよ、それ自体は。ただね、今年から無料ゾーンにできたというRed Brickステージは完全に設計ミス。移動導線上にあるのもどうかと思うし、無料ステージなのにネバヤンとかユアソンとか普通に人呼べるアーティスト出しちゃったせいでさばききれなくなってしまっていた。

ネバヤン観ようかと思って行ったけど、人が多すぎてほぼ観れず。周りの人も愚痴っていた。無料組が良い位置で陣取っているせいもあり、高い金払って来てる我々が追いやられているという状況は正直どうかと思う。

 

貧乏性なので基本休みなく観れるだけ観ようというスタンスでぶらぶらとせわしなく動き回り、気づいたら一度も座ることなく昼についてから帰りの電車で座るまでずっと立ちっぱなしだった。謎のフェス体力。

 

とりあえず観たものいくつか備忘録程度に。

 

藤原さくら

 スピッツのカバーをうたってることくらいしか知らなかったので、いわゆる「ボサノヴァカバーをうたう女」的な感じで正直完全に舐めてたが、演奏かなり良かったです。ドラム見覚えあるなぁと思ったらmabanua君が叩いていて、その他バックバンドも達者なメンバーぞろいで、豪華なメンバーに支えられて堂々と歌っていて気持ち良かった。何より見た目がかわいいのである。なんというか純粋に音楽だけで売らなくても売れそうなレベルのかわいさ。その辺のアイドルよりかわいいからな。こんなの売れるわ。事務所アミューズだし。

ただ、声がとても良いので、あまりポップな方向に寄るのではなく、もうすこしブルージーな方向できちんとアーティストとして売ってほしいなぁと思いました。ビジュアルが音楽邪魔しなきゃいいけど。そう思ってしまうくらい、ついでじゃないかわいさでした。

 

安藤裕子

Nirvanaの「Smells Like Teen Spilit」をカバーを聴いて次に移動。久々に見たけどちょっと老けたな。藤原さくら後に見るとやたらベテラン感あった。

 

・Jake Bugg

なぜこのフェスに?枠。普通に良かった。

 

・Izzy Bizu

初見で予習も無しに行ったけど、黒さもあるポップで聴きやすい。BBC Sound of 2016のノミニーとのことだけど知らんかった。BBCの選出は当たる年はやたら当たり軒並み売れるけど、そうでもない年もたまにあるから今後に注目。黒人女性送付シンガーだと2013年選出のLaura Mvulaとか思い浮かんだけど、彼女最近あまり名前きかないな。

隣で聞いていた女の子たちが「ノーブラで白のキャミソールなのが文化の違いを感じる・・・」とつぶやいていたが、確かに乳首完全に透けてました。

 

cero

ライブで観るのは本当に久々。5年ぶりくらいかな?メインステージでもしかしたらこの日一番混んでいたかもしれない。ほんと売れたなぁという印象で、雰囲気も演奏も貫禄を感じた。MCもしっかりしていた逞しい。昔はカクバリの弟キャラだったのに!しかしSummer Soulというサマーアンセムがあるのはこの時期強いですな。

 

Tortoise

メインステージのトリなんだけど、この客の少なさよ・・・。余裕で最前に行けた。始まったらそれなりに人が集まってきたものの、ceroの半分くらいしか入っていない気が。わかっちゃいたけど、フェスの客層がやや違う。自分みたいなトータス目当てで来た人間は少数派なのだ。

きっとみんな奥田民夫見た後に富田ラボに行ってるんだろう。入場規制かかったらしいし。ceroの高城くんや、ネバヤン安部、藤原さくらなど、今回出演してるアーティストからのゲストが多いから豪華なステージになったことでしょう。

トータスは新譜が実はそこまで好みじゃなかったんだけど、ライブで観るとやはりすごい。2台のドラムをメンバーが曲ごとに入れ替わって叩きまくる。ライブならではの気持ちよさ。ジョン・マッケンタイアはやはり最高だと改めて思った。

ここで敢えてトータス観てる客はみんな仲間だ。最後の曲が終わり、鳴りやまないアンコールの拍手もむなしく、楽器を片付けるスタッフが出てきて終了。まぁフェスは時間にうるさいからこんなもんでしょう。でもトリだったらあってもいいよな。次来日あったら絶対行きます。

 

2017/5/20 CHIIO、SaToA、Hello Hawk、The Wisely Brothers@o-nest

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久々の連日ライブでBillboardの翌日はnest。我ながら振れ幅がでかい。

本日はCHIIOという都内の男女混成インディーバンドの7inchリリースツアー。対バンにSaToA、The Wisely Brothersがいたら女性スリーピース愛好家としては行かぬわけにはならぬ。実は金曜からあまり睡眠とれておらず、眠たい目こすりながらnestへ向かう。

トップバッターはThe Wisely Brothers。初っ端だからか客入りはかなりまばら。先日のワンマンもnestで同じ舞台だったけど、あの時は満員だったので差がすごい。サウザンド・ビネガーからスタートして、ワンマンでもやらなかった初披露の英語詞の新曲もやってくれて大満足。(でもやっぱ客は入ってたほうがお互いテンションは上がる。)

2番手はHello Hawk。初めてみたけど、叙情的かつ疾走感があってかっこいい。ドラムボーカルのバンドって久々に見る気がする。こういう声質とても好きです。アルバム録ってるとか言ってました。レコ発は行こう。

お次はSaToA。もう最高。MC慣れしてない感じもかわいくて良い。こちらも音源期待してます。あと出番待ちの際、客席で前のバンドの演奏をきちんと聴いてて好印象です。端で突っ立って携帯見てるより絶対に良いです。

最後はCHIIO。男女混成で演奏とか良い意味でインディーらしかぬ完成度。生真面目な音。なんというか、クラスの真面目サイドのグループの人たちが集まってる感じ。こういうのもいいっすね。7inch出すくらいだからそれなりに売れてるんかな。

しかし、まだ見ぬこういうレベルのバンドがインディー界隈にゴロゴロしてるのかと思うと、リスナーとしてはとてもいい時代だなぁと思う反面、プレイヤーとしては大変だとも思う。今回のイベントタイトルがDiscoveryだけど、その名の通り、新しい良質バンドを発見できた夜になった。ナイスイベント。

 

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2017/5/19 The New Mastersounds@Billboard Live Tokyo

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The New Mastersounds(以後、NMS)の来日公演に行くのは随分久々だ。確か8年前くらいかな?柱が悪名高い渋谷クアトロで満員の中観た記憶がある。その後アメリカで2回ほど行ったけど、正直なところ西海岸での彼らの人気・知名度は日本のそれより少し劣っているようにその時は感じた。二都市で行ったけど、どちらもガラガラとまではいかないけどかなり空いていて、客のノリもそこまでよくなかった(無論演奏は最高だったが)。同じアメリカでも黒人文化が比較的薄い地域においては、ファンクのような黒い音楽はあまり受けないのかもしれない。

Venueも一回はしっかりしたライブハウスだったけど、2015年のUSツアーで行ったときはビーチ沿いの場末のヒッピー臭のするバーみたいな場所で、店内でお姉ちゃんが売り歩いているPabst Blue Ribbon(通称PBR)というコスパ最強の超絶薄味ビールを缶で買って適宜飲むといういかにも安そうな会場でやっていた。それはそれでよかったけど。

 

そういう意味で日本人は黒い音楽を熱心にDigしてきたカルチャーがあるからか、知識量とか含めてリスナーの平均値がやたら高いのかもしれない。そんな黒汁ウェルカムな土壌の日本で彼らは「銀河系最強ファンクバンド」なんてものすごい異名で紹介され愛されているが、銀河系かは知らんけど、贔屓目抜きに見ても現役で世界最高峰と言っても異論は出ないでしょう。

さて今回の会場はBillboard Live Tokyo。普段ライブに一人で行くことに全く抵抗が無いし、むしろ一人が基本なんですが、BillboardやBlue Noteに行くときは、一人で観に行くのも少しためらうのでいつも誰かを誘うことにしている。

気にしすぎと言われればそれまでですが、家族連れとかカップルが多い中で相席になるとお互い妙に気まずいからという私なりの配慮です。アメリカ時代にEspelanza Spaldingのコンサートに行った際、海辺の野外ステージで4人テーブルで家族で団らんしてる中で一人突入し(指定席だったのだ・・・)、いたたまれない気持ちで観ることになり肝心のライブもEmily's D+Evolution名義だったため、あまり好きになれずどんよりとした気持ちになったあの日の教訓。

今回は友人を誘ってみたものの当てが外れ一人で参加。今回はジャンル的にもたぶん平気だろうと予想。予感は的中し、案の定会場内は普段の4割増位の感覚で一人で来てる男性率が高い。自分のテーブルは前後あわせてほとんど一人で来たおっさんたちだった。良かった。

演奏は言わずもがな最高。席に案内される際、係の人に「今回は途中からスタンディングになりますので・・・」と言われたが、中盤まで立っている人は数人という状況で、後ろの人の見え方とか気になり妙に立ちづらい。しかたないから椅子に座りながら全開で踊っていたが、後半から同じような葛藤を抱えていた周りの一人組のおっさん達がぞろぞろと立ち出しので、後半はスタンディングで思い切って楽しめた。

途中、タマフルリスナーにはお馴染み、バーナード・パーディのドラムフィル「ダ・チーチーチー」*1が何度か出てきて、ウェーイ!と一人心で呟いていたのだが、翌日のタマフルの放送で「ダ・チーチーチー」特集第二弾がちょうどやっており、その中で、今回のライブ前にNMSのメンバーにMobyが「ダ・チーチーチー」の話をして、オリジナルTシャツを渡したところ妙に気に入ったらしく、当日の演奏ではいつもより多めに「ダ・チーチーチー」をかましていたと話していた。*2 うーん面白い。やってたのは気づいたけど、さすがにいつもより多いかまではわからんわ。

 

しかし何度来ても思うが、雰囲気とか景色は申し分ないのだが、Billboard Liveは本当に音が悪い。割と中央のいい位置にいても関係なく悪い。特に今回みたいなボーカルが無いバンドの場合は顕著に音の悪さが出る。おそらく構造上の問題なので改善の余地は少なそうだが、次回NMSが来日する際も今回の流れでBillboard Liveになりそうな予感。もっと音の良い、かつ、カジュアルに踊れる箱での来日公演を切に願う。

終了後のサイン会用に2015年のUSツアー後、Nashvilleのスタジオで一日で録音されたという新作アルバムを購入。サイン会自体はメンバー全員が横に並んで一人ひとりサインして横に流していくというまさに流れ作業の淡白な感じでほとんどしゃべれなかったが、「これが録音された時のUSツアーいったよ」とだけ取り急ぎエディに伝えたら、少し驚いていた。

またの来日を心よりお待ちしております。

2017/5/15 Cigarettes After Sex@原宿アストロホール

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月曜はUSのドリームポップバンド、Cigarettes After Sexの来日ショウケースを観にアストロホール@原宿へ。月曜夜の原宿は週末の雰囲気とは違ってまた独特の空気である。

開始前についたが、会場は満員で最後方で観ることに。人気すごいな。予定枚数が相当絞られてたんだとは思うけど、ホステスの先行予約は開始30分位で売り切れてたので、さすが安心と信頼のホステスブランドといったとこか。音源もまだ限られてるのにみんな耳が早いっすね。(しかしYoutubeの再生回数が凄いのはわかったけど、RadioheadのMVと回数が並んだとかどうでもいい比較情報で推してくるのはどうなんだ?)

www.youtube.com

自分はYoutubeでも見たことなかったけど、ドリームポップでこのバンド名ときたらまず外さなそうな予感がプンプンしたのでチケット購入。なんでしょうこの感覚。分かる人はいると思う。やっぱバンド名は大事。

 

ドリームポップというジャンル大好物なんですが、きちんと分類しようとすると中々曖昧で、全く知らん人に説明しようとすると結構めんどそうなジャンルだと思う。スロウコア、サッドコアと何が違うと言われると難しいところ。

代表的なところでいうと、コクトーツインズあたりか。近年だとThe XXもドリームポップと分類されてたりする。名曲Angelsのイントロとか完全にドリームポップ。

コクトーツインズを挙げたけど、シューゲイザーとはまた違う。ただ、この手の音楽好きな人はだいたい被ってるので、あまり細かいこと気にしても意味ないかもしれない。*1

 

ほぼ定刻通り演奏開始。ドリームポップファンが求めているものを100点満点で回答してくるような超正統派な演奏。ただただ甘美でずっと浸っていたい。ボーカルの声質も素晴らしい。Sun Kil MoonことMark Kozelekのやってたスロウコアの代表的バンドRed House Paintersを思い出す。

テキサスのEl Paso出身とのことだけど、個人的にはドリームポップっぽくないイメージの土地。単なる偏見だけど、よくこのジャンルでこの完成度のバンドが産まれたよなぁと思いながら観ていた。El Pasoはテキサスの西の端っこ、南はすぐメキシコという国境の街である。*2 調べたらThe Mars VoltaもEl Paso出身らしい。一度行ったことがあるが、田舎町にしてはそこそこ栄えてる。カリフォルニアから道中死にそうなくらい退屈で何もない平坦な道を10時間以上ぶっ続けて運転して、疲れ果てててBBQ食ってすぐ寝た思い出。

 

アンコール含めてトータル45分位の短い演奏時間だったが大満足であった。短時間なのは持ち曲がまだ少ないからなのか?ぶっちゃけこの手のタイプの音楽はどの曲も最終的に似通ってくる傾向があるので、飽きないためには1時間切る位が実はちょうど良いのかもしれない。軽くアルコール入れて、ゆらゆらと音に浸り夢が醒めるまでの最高の一時。

Cigarettes After Sex、全ドリームポップファンにおすすめします。

*1:Mikikiで連載が始まった「黒田隆憲のシューゲイザー講座」が凄い情報量なので興味ある方は是非。これ一通り読めばすぐにシューゲ通を名乗れるレベル。

http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/13917

*2:ちなみに国境を越えた先はシウダー・フアレスという現在でも世界でトップレベルに治安の悪い街がある。一時期は世界一の悪名をはせたらしい。ただEl Paso自体の治安は別に悪くない。